浅田薫
2009年、岡山大学卒業、歯科医師国家試験合格。2010年、日本大学歯学部矯正学講座入局。2014年より熊谷駅ビル歯科医院、ゆずる葉歯科、けやき歯科クリニック、西新井洪誠病院歯科、西葛西サカイ歯科、現・西葛西杉井歯科クリニック・キッズプラスなど多数歯科医院に勤務。2018年、千葉県柏市に矯正歯科クリニック柏の葉を開業して現在に至る。
http://ortho-clinic-kh.com/

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

INTERVIEW

女性の社会進出が当たり前になった昨今ですが、歯科業界はまだまだ男性中心で、働く女性に対する男性の協力と理解が不足しているのが現状です。私自身、何度も「女性は(片手間で働けて)いいよね」と言われてきました。けれど女性だって本気で仕事に向き合っています。私はそんな女性のお口元を、女性歯科医師ならではの目線で美しくしたい。そう願い開院したのが、矯正歯科クリニック柏の葉です。男性と競い合うのではなく、女性らしくしなやかに世間の荒波を渡っていくお手伝いがしたいと思っています。

浅田薫

「女性だから仕方がない」を受け入れたくなかった

矯正専門の歯科医師の働き方は少し独特です。9〜17時と勤務時間が定まっているわけでもなければ、勤務場所が1カ所に定まっているわけでもありません。1医院あたり月1〜3回程度の診療を複数医院掛け持つという働き方が一般的です。私の場合、一番忙しかった時期は大学病院の診療と論文の執筆をしながら10医院前後を掛け持ち、休みは月2回程度でした。

しかし、矯正歯科医師と契約する医院側からすると、月に数回数時間出勤してパッと仕事をしてパッと帰っていくという姿がとても身軽に感じるようで「気楽に働いている」と思われることがよくありました。実際、出産・育児や介護などのライフステージの変化に応じて自由に勤務時間を調整できることから、歯科分野のなかでも矯正を選ぶ女性歯科医師が多いのは事実です。その一方で、男性歯科医師の多くが開業するなか、女性歯科医師の多くは自身がライフステージに合わせて勤務時間を調整することを「仕方がない」と受け入れている現状があります。けれど私は心から仕事が好きだったため、自分のペースで大好きな仕事を続けるために、開業という道を選んだのです。
また、女性スタッフで構成された医院を運営していく中で、女性のライフステージに合わせた環境づくりを大切にしております。スタッフの出入りが多くなることを配慮し、院内インフラを整えるなど、女性にとって働きやすい環境を今後も提供していきます。

自分らしく働きたくて開業

浅田薫 ちょうど開業について悩んでいた頃、私がなんでも相談していた恩師が亡くなったのも開業を選んだ一因です。恩師が突然いなくなり、「もう一人でやっていく時が来たんだよ」と巣立ちを促されたような気がしたのです。その恩師も開業していたのですが、自分が治療した子どもが大人になった時に自身の子供を連れてくるというパターンが多く、まさにかかりつけ医。私もそういう医院にしたいと思っています。

それでいて「女性が開業する意味を追求したい」と考えた結果、まずは女性が働きやすい環境を作ることにしました。では女性にとって働きやすいとはどういうことなのか。そう考えた時に気付いたことがあります。私はそれまで、男性と張り合うように仕事をしていましたが、そもそも男性と女性は構造が違う。体力で敵うわけがないのだから女性らしく、私らしく働けばいいのではないかと。

そうして考えたのが、1日8時間週4日、残業なしというスタイル。すべてのスタッフができるだけ居心地よく働き続けられるよう、体に負担のない働き方にしました。内装もスタッフが通いたくなるようオシャレな雰囲気に。歯科医院のスタッフはお弁当持参が多いのですが、スタッフ同士のコミュニケーションがとりやすいように、月に1度は外でランチに出てもらっています。治療説明の資料作りや季節のイベントの飾り付けは、あえてスタッフにお任せ。みんなで話し合いながら進めてもらっています。もちろん治療する場所ですので清潔感第一。細やかな場所まで気を配り、掃除と滅菌の行き届いた環境を整備しています。

女性医師だから女性患者の悩みに本当の意味で寄り添える

浅田薫 矯正は究極的に言ってしまえば自己満足の世界。もちろん噛み合わせが良くなれば身体の健康に繋がりますが、女性目線で言えば「毎日鏡で見る顔を少しでも美しくする」ための手段の一つが矯正なのです。私は20代後半に矯正の再治療を受けたのですが、自分が気になる部分と歯科医師が求める部分の差異を強く感じました。私はこんなにも気になるのに医師目線で「十分きれいだよ、そこは別にいいんじゃない」と言われてしまい、遠慮して希望をなかなか伝えられなかったことがありました。これは私に限った話ではありません。当院にセカンドオピニオンでいらっしゃる患者さんからもよく聞く話です。つまり、女性が矯正に求めているのはより審美的な目線といえます。

開院2年目の現在、予約待ちの患者さんがいるため規模拡大を考えるほどに医院として成長しました。もちろん私だけの力ではありません。スタッフ一人ひとりが患者さんと真摯に向き合っているからだと思います。女性ならではの心遣いを忘れず、適度の距離感で患者さんと寄り添ってくれているのです。

「寄り添う」――。それは私自身も常に意識していること。スタッフに対しても、患者さんに対してもその想いは忘れません。寄り添っていたいからこそ、日々勉強し続け新しい技術を学び、より良い治療ができるよう取り組んでいます。歯は誰にとっても一生大切なものです。これからも患者さん一人ひとりの歯に寄り添い、人生に寄り添うような歯科医師であり続けたいですね。