梅元直樹
1983年、愛知県に生まれる。2002年美容専門学校を卒業し、名古屋市のヘアサロンに就職。12年間の実績を積んだのち、16年に名古屋市内にヘアサロン「ahead」を設立した。お客様に寄り添うヘアサロンを目指しながら、働くスタッフの心地よさを追求している。
https://hairsalon-ahead.com/

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

INTERVIEW

私たちは、地域の方にとどまらず、遠方からでもaheadに来たいと思っていただけるようなヘアサロンを目指しています。街中に多くの美容室がひしめく中で、いかに差別化をするか考えたときに始めたのが、SNSを使ってお客様との心の距離を縮めるサービスでした。自宅に帰った後も、気軽に質問いただけたり、時間を問わずご予約をいただけたりするなど、細やかにお客様にニーズに応えていくことを追求しています。お客様とのコミュニケーションには、女性の繊細な感性は非常に役立ちます。女性が活躍できる職場環境を目指し、より柔軟な働き方を創り始めています。

ahead

活躍できるはずの女性が長く働けない理由

私たちのサロンも、女性スタッフが男性スタッフの3倍在籍しています。業界的にも、非常に女性が多いのが特徴です。これは、お客様も女性が多いなかで、女性のお客様のライフスタイルやニーズへの理解を深めやすいのが同じ女性スタッフであることや、女性の感性の繊細さがサービスに活かされる場面が多く、積極的に採用しているサロンが多いことが理由に挙げられます。現場に立っていても、昔以上に「女性スタッフにお願いしたい」というお客様が増えているのは、そうした女性ならではのおもてなしが、お客様の心に響いているのだと感じています。これだけ女性が活躍できる舞台となっているにも関わらず、残念なことは女性スタッフのライフイベントによる離職率が高いということです。私も長年この業界に身を置いてきましたが、正直なところ、女性がライフイベントのタイミングで職場から去っていくことは当たり前に感じてきました。仮に、産休や育休を取得したのちに復帰したとしても、以前担当していたお客様は、すでに別の担当や別のサロンに行ってしまって戻ってきていただけず、モチベーションを持てずに辞めていってしまうといったケースも知人の間では多く目にしてきました。本来は活躍できるはずの場所で、長く安定して働くことができないという矛盾をどう解決したらいいのか、自分のサロンを経営し始めてから考えるようになっていました。

産休育休を取得中もお客様と繋がり続ける。

ahead 3年目に差し掛かった今、産休育休を取得する女性スタッフも出始めており、復帰後の受け入れ態勢を整えているところです。一般的な企業であれば、受け入れ後の配属や、勤務時間などきちんと整えられていることが多いと思いますが、美容室業界というのは、そういった例があまりないというのが大きな課題です。もともと拘束時間が長かったり、立ち仕事であったりすることから、体力的な懸念で復帰を断念する方も多くいらっしゃいます。それでも復帰をしたとして次に頭を悩ませるのがお客様がいないということです。そこで、長くブランクが空いてしまうことで、お客様が離れていってしまうことをなんとか解消するために始めたのが、産休育休を取得している間も、自由に出勤できる仕組みの導入でした。弊サロンでは、お客さまとのコミュニケーションにSNSを活用しています。お客様とのやりとりが場所や時間を選ばずに行えることから、自分が担当するお客様が来店される時だけ出社することで、お客様と繋がり続けることを可能にしました。妊娠中であったり、子育てをし始めている頃に、働くことが女性スタッフにとって、かえって負担になってしまうのではないかという心配もしておりましたが、反響は非常に良好なものでした。「自宅でずっと子育てに向き合っているなかで、少しでも外に出て仕事をできることは気晴らしになった」という声や、「ブランクによってスキルが落ちたり、勘が鈍ったりしてしまうことを防ぐことができた」といった声が上がっています。その結果、復帰後もお客様が変わらずに目の前にいてくれるというのは、復帰の不安を大きく解消してくれるものになっていると思います。

女性の働き方の自由度を上げる。

ahead 経営するということは、そこで働くスタッフに心地よく長く働き続けてもらうことがまずは大切です。そうした職場を作ることで、スタッフも増えていき、最終的には店舗を拡大していきたいと思っています。そうなれば、当然、今以上に女性のスタッフも増え、多様な働き方が求められる時が来ると思っています。現在は1店舗で少人数ですので、柔軟に対応しやすいものですが、規模が大きくなったら、さらに明確な仕組み作りが必要だと感じています。その取り組みの一つとして、託児所を持つことを目指しています。現在、女性スタッフが産休育休を取得中に、自由に時間を選んで働くことができるのは、実はご家族の協力があってこそなのです。旦那様や、ご両親のサポートがある中で、職場にきていただいていますので、お客様と家族の両方のスケジュールを合わせなくてはいけません。でも託児所ができれば、時間を選択する自由度が増しますし、そばにお子様を置くことができれば、安心も増えるはずです。
こうした取り組みをなかなか進めることが出来ずにここまできてしまった美容室業界。女性の活躍に支えられている業界だからこそ、女性がもっと活躍しやすい環境を整えることを求められています。小さなサロンですが、私たちがモデルケースとなり、美容室業界で長く働き続けていきたいと思う女性スタッフが増えていくことで、業界全体を盛り上げていければと願っています。