立石豊
1961年京都府生まれ。1983年、大阪芸術大学映像計画学科卒業。1985年シンコーメタリコン入社。1994年、代表取締役社長に就任。日本溶射工業会会長・日本溶射学会理事・防食溶射協同組合理事。滋賀県男女共同参画審議会第8期委員。京都中金ユース会代表幹事(2010~2012)。
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INTERVIEW

働きやすい環境を提供することは、仕事へのモチベーションや「やりがい」に直結する。これは私が社長に就任以来、さまざまな働き方改革や職場整備を行ってきた結果、身を以ってわかったことです。休暇や手当などの制度は社員のメリットだけでなく、一人一人の仕事の効率や質を上げ、笑顔が社内に溢れ、結果的に会社のメリットとして還元されます。そのためには女性はもちろん、社員全員の声に耳を傾けることが経営者として何より大切なことなのではないでしょうか。

立石豊

産休・育休だけじゃない、その先を見据えて

私は他では聞いたことのない社内制度でも、まったく躊躇せず採用します。働きやすくなる、社員の人生が豊かなものになると思えば実行していく。それが私の理念です。そのひとつに、「育休出勤」という独自の制度があります。これは産後の育児休暇中に毎月一回、子連れで出勤するというものです。これにはいくつかの効果がありました。産休中の女性社員にとっては、社会復帰の足掛かりや馴らしになるということ、現在の仕事の状況を把握できるということ。さらに、先輩ママに育児の相談もできたりします。そして何より子連れでなければならない理由は、同僚に「赤ちゃんができて、今後も育児しながら働きます」と認知してもらうためです。そうすると同僚は、顔も見たこのとある、あるいは抱っこしたことのある同僚の子供のことをしっかりと温かい記憶として残ります。するとその女性が育休から復帰したとき、「○○ちゃん待ってるから、早く帰ってあげて」という声が自然と聞こえてくるのです。

いい土壌を作れば、その養分は自然に流れ出す

立石豊 子育てしながら働く女性にとって、こんな温かい空気にあっても、甘えず、むしろその気持ちに応えようと育休復帰後ものすごく頑張った女性もいます。今までなら残業してやっとこなせる仕事量を、彼女は時間内に上げるため物凄い集中力で毎日仕事をしていました。周りはもとより私もその姿をしっかり見ていました。その年の一番頑張った社員に贈る「社長賞」を彼女に贈ったほどでした。
彼女に限らず女性の「頑張り」には驚かされることが多々あります。彼女たちは制度や手当を享受するだけではなく、それがひいては自分の「やりがい」に繋がっていること、会社に貢献できることをよく理解しているのだと思います。このような子育てをしながら頑張る女性や女性の課長といった憧れのモデルが何人かいれば、自分の将来やプランがイメージできたりもます。女性活躍の土壌は育ちつつあって、先日も女性の上司が新人の女性社員に電話応対コンテストに出場させていました。男性の上司なら経験のある社員に出場させるところですが、そこは女性同士、いい意味で鍛え、チャンスを与え育てているのだなと、見ていて両者が頼もしかったですね。コミュニケーションを密にいい土壌を作っておけば、自然とその養分は人と人の間で流れ出すのだと思った出来事でした。

社員が求める環境は、対話から見出す

立石豊 どんな制度や環境も一人一人の働きやすさが重要なので、私はよりその声をリアルに反映するために個人面談をよく行います。フレックスタイム出勤の導入もそうした声の中から生まれました。出産や乳児の育児のケアだけでなく、子供の成長によって異なる保育園の送り迎え時間や登校・下校時間に合わせた出勤スタイルです。また男性社員に向けて、奥さんの出産後5日間そばにいて父になる自覚を持つとともに、育児をサポートしようという「イクメンファイブ」という休暇制度があります。これは好評ではあったものの、女性社員の生の声は「産後すぐはまだ病院に入院中で、夫がすることは何もない」というものでした。すぐに改善しました。このようなリクエストや改善点も、社長や上司の耳に聞こえてきます。これも普段からの社員とのコミュニケーションがあってこそです。
あとはアイデアと決断力、行動力でこれからも「やりがい」を持てる職場環境に整えていきたいですね。経営者として、女性に限らず社員には幸せになってほしいですし、人生を楽しんでほしいですから。