谷敦
女子大学卒業後、大手自動車メーカーに就職。次いで大手生命保険会社2社に勤務。15年間、生命保険募集に従事したが、1社の商品のみで顧客ニーズに応えることに限界を感じ、より良いコンサルティングアドバイスを行うために、生命保険代理店として2004年に株式会社JUST FOR YOUを設立。非上場の中小企業の社長に向けた、事業承継対策や相続税対策など保険を使ったコンサルティングを行っている。相続・事業承継を題材にしたセミナーは中小企業の社長様、病院の院長先生、資産家様を対象としており、これまで講演回数は300回を超える。またラジオなどメディア出演においても活躍し、現在の保有契約件数は13,000件を超える。
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※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

INTERVIEW

結婚、出産というライフイベントにより、どうしても休暇が必要となることは、社会で活躍する多くの女性が悩むところ。特に育児休暇など長期のブランクは、変化の早い現代において、復帰後の負担を想像以上に大きいものにします。自分が居たはずの場所が劇的な変化を遂げており、右も左もわからない状況になっていることも少なくありません。できる限りブランクを短くし、お子さんの成長に合わせて、勤務時間や勤務方法を工夫しながら、長く寄り添い続けられる会社でありたいと考えています。

谷敦

会社と社員、そして家族が協力できる環境作り

中小企業というのは、大企業のように経済的体力にゆとりがあるわけではありません。社員一人一人が、しっかりとした仕事量を担ってくれなければ、倒産してしまう恐れもあるほど。「経営」と「女性が働きやすい環境への改革」のバランスは非常にハードルの高いものとなっています。弊社では正式に制度を作るというよりも、個別に相談をしながら様々な仕組みを取り入れてきました。

弊社の第一号の社員は女性なのですが、彼女のお子さんが幼い頃には、一室を子供部屋とし、ベッド、ビデオ、テレビ、おもちゃなどを取り揃え、子供と一緒に働きやすい環境を作りました。当時はシッターなどを雇用することまではできませんでしたが、会社として精一杯、彼女の子育てに協力し、今でも会社で活躍してくれています。仕事と家庭の両立は、どちらも完璧にこなすことは不可能というもどかしさがつきものです。会社と家族、双方の協力がなければ、女性本人の負担を減らすことができないという経験が、後続の女性社員に対する体制に活かされています。多少の経費をかけてでも、優秀な人材に最後まで働いてもらうことは大切だと考えています。会社も社員も、お互いに助け合えることを努力していきながら、人と人のつながりを作っていき、たくさんの協力者がいれば、女性は社会の中でも輝けるものだと確信しています。

互いの能力を重ねあい、チームワークで走る

谷敦 長く会社を存続させていくためには、社員にも幸せに仕事をしていただかなければなりません。「休みが多い」「定時で帰れる」「男性でも育児休暇が取れる」などの働き方が、世の中では一律的に「幸せな働き方」だともてはやされていますが、特に中小企業においては、この全てを叶えることは難しいもの。会社の成長時期によって様々な苦労を社員と共に乗り越えていかなければ、会社の成長はありません。会社のメンバーが良い形でチームワークを組み、業績を上げていくためにはどうしたら良いかを、いつも考えています。そのために、弊社ではインセンティブ支給などは行わず、男女関係なく、やる気と能力があれば、それ相応の給与、待遇を得られる固定給制を貫いています。固定給という制度を敷く上で、営業や事務などを分業し、よりチームワークをわかりやすくしています。

今あるチームワークを何のために、そして誰を喜ばせるために、何をするのかという目的について、みんなで話し合い、心を一つにすることで、業績を上げられた時の喜びはチーム全体のものになります。ときに「みんなでハワイへ行こう!」といった遊び心のある目標を企画することも。人生は、喜びを感じるイベントを創造していけるものこそ、豊かさがあると思っています。

広い世界に触れ、自分の可能性に目覚めて欲しい

谷敦 今の仕事を始めたきっかけは、父です。会社を経営していた父が亡くなり、会社運営のための借り入れが残ったことで大変苦労をしました。しかし、父が保険に入っていてくれたおかげで、何とか生活に困ることはありませんでした。経済的に救われたことに加え、私たちを思って備えていてくれたという愛を感じることができたことに心が救われました。これが私の仕事の原点です。イギリスでは生命保険のことをラストラブレターと呼ぶように、最後に大切な人に送る愛の形です。会社の保険は、もし会社の経営が傾き、社員に退職金が支払えなくなった時のために備えておく、社員を守るための社長の愛の形なのです。

女性起業家になるとは思ってもいませんでしたが、生命保険の仕事を始めて、契約をしてくださったお客様を長くサポートするために、会社を作り、社員を雇用することで永続的な企業を目指すことになりました。これまでを振り返り、改めて私は、女性に生まれてよかったと感じています。結婚、出産を経験し、今では孫もいますが、私の場合は主婦だけをしているわけにはいかない環境があり、働かせていただく縁をいただくことになりました。しかし、そうでない女性であっても「自分の仕事は子育てと家事だけだ」とは思い込まないで欲しい。自分の才能を、世の中の役に立たせたいと思う気持ちが、少しでもあるのであれば、ぜひいろんな人と関わり、話をしてみて欲しいと思っています。今よりもっと広い世界に触れることで、自分にも役立つことがあるということに目覚めてくれる女性が増えることを願っています。