松本恭攝
1984年生まれ。富山県出身。2008年に慶應義塾大学商学部を卒業し、コンサルティング会社A.T.カーニーに入社。M&Aや新規事業、コスト削減プロジェクトなどに携わる。その過程で印刷業界の非効率さ、コスト削減効果の高さに気づき、09年にラクスル株式会社を設立。同社代表取締役CEO。「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」をビジョンに巨大な既存産業にインターネットを持ち込み、産業構造の変革を行う。
https://corp.raksul.com/

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

INTERVIEW

そもそも人は活躍するものですから、私は女性活躍という言葉自体に非常に違和感を持っています。男性活躍という言葉が世の中に蔓延していたとしたら、すごく不自然に感じますよね。それと同じことです。
そして、男女による区別をしてしまうと、組織には多かれ少なかれひずみが生じます。男性だから女性だからという理由で採用や管理職への登用をすることがあれば、それこそ男女差別を起こすことにつながってしまうでしょう。だからこそ当社の基本的なコンセプトは、性差による区別をしないこと、そして分け隔てなく誰もが同じ環境で仕事ができることです。これからも常にフラットな視点で、みんなが働きやすい環境づくりを進めていきたいと考えています。

松本恭攝

男性の理解で、女性をサポートする

2017年12月現在、ラクスルの従業員は約180名を数えます。そのうち女性比率は4割強。しかし、こうした比率は自然な流れで生まれた数字に過ぎません。当社としては、男女の区別をしないスタンスや働き方、環境づくりを貫いていきたいと思っています。
ただし、出産などのライフイベントは男性が経験し得ないことですから、こうした差異に対するケアは重要なことだと思っています。育休制度の取得は大切なことですし、それは男性においても同じ。女性をサポートするためにも男性が理解を示し、働き方を見直すなど、常にフラットな視点から働きやすい環境づくりを目指していくことが大切なのだと考えています。
私自身も3歳と1歳の子どもを持つ父親ですが、毎朝車で子どもを保育園に送るのが日課になっています。また、私を含めた社内の取締役は5名おり、全員が子どもを持つ父親でもあります。みんな家族や子育てに向けたサポートに力を注いでおり、最近ではCFOが1ヶ月の育休を取得しました。そうした現状から見ても、女性に対する理解は深いほうだと思っています。

知的生産性を上げるために

松本恭攝 とくに女性が社会で働く上で重要なことは、仕事とプライベートの切り分けをしっかりとしていくことなのではないでしょうか。現在は残業をしない働き方が社会全体で見直されつつありますが、当社では以前から推進してきたことでした。
当社のコアタイムは10時から17時となっていて、この時間で最大限のパフォーマンスを発揮してもらうことが何より大事。多くの残業を抱えた仕事の在り方は、決して良い仕事の在り方とは言えません。そうした考え方が、女性のキャリアを推進していくうえでも非常に有効だと考えています。
とはいえ、設立当初はいわゆるベンチャー企業。休日もなく朝から終電過ぎまで働くような毎日でした。しかしその後事業が拡張していき、個人の努力ではなく組織としての成果によって価値をつくっていくようになっていきました。時間で出せる価値よりも、知恵によって出せる価値のウェイトが大きく占めていったということです。この時に、いかに良い知恵を持った人材を会社の中に集めることができるかが重要になっていきます。つまり知的生産性を上げていくためには、女性をはじめ、より多様な人材が必要だということ。それが会社の成果を最大化させていくために重要なことなんです。

女性とともにチャレンジを続ける

松本恭攝 当然ながら、子育てをしながら働く社員を抱えるということは、様々なイレギュラーも想定しなければいけません。会社で大切なイベントがあっても、子どもが熱を出して病院に連れていかなければいけないことだってありますよね。その場合は子育てを優先してもらってかまわない。これは制度云々の話ではなく、現実に起こりうる話で、常に会社としてチャレンジしていかなければいけない問題でもあります。
ただし、そうした会社としてのデメリットを考えるよりも、女性にも子育てをしながらのびのびと働いてもらうことで、成果を最大化できるメリットの方が大きいということも忘れてはいけません。それだけ会社で働く社員というのは、かけがいのない大切な存在なのですから。