天野貴三
1982年、東京都調布市生まれ。定時制高校時代から精密機械部品の検査員や土木業、内装の職人、接客業など様々な職種を経験。天野産業入社後は主に営業職でキャリアを積み、2010年に代表取締役就任。同時期に経営の勉強をするために、自由が丘産能短期大学を卒業し、社長業と両立した。その後女性の雇用・登用に力を入れ、2017年には同社初の女性営業職を採用。資材を企業から買い取り、リサイクル資源としてメーカーに供給。回収・運搬から加工、出荷までを一貫体制で行っている。
http://www.amano-recycle.com/

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。

INTERVIEW

男じゃなきゃ務まらない。この業界ではそんな考えが長年まかり通ってきました。そこで私は社内改革に取り組むことにしたのです。反対意見が多くあったのも事実です。でも、取引先の企業と肩を並べ、業界での地位を確立するためにも改革は必須でした。
リサイクル業にも女性が力を発揮できる職場はいくつもあります。そこに適材適所、人材配置をしていくことで会社はもっと成長できる。社内への説得を続け、雇用・登用を進めた結果、女性が戦力として期待できる存在だと近頃ようやく理解してもらえるようになりました。私が代表に就任した2010年以降、我が社は大きく変わったと思います。でもまだ道半ば。やるべきことはたくさん残っています。

天野貴三

工場でも女性はなくてはならない存在に。

天野産業は建設現場や工場で不要になった銅線や非鉄金属、木製空ドラム、電気機器類などを回収・買取して再生加工を行ない、販売する会社です。創業以来、環境に優しい資源循環型のビジネスで、多くのクライアントからの支持を集め、成長を続けてきました。女性の活躍の場は少ないと思われがちですが、事務職はもちろん、工場の現場でも女性の力は欠かせません。例えば、回収した資材を加工する工程には細かな手作業が必要で、女性は総じて男性よりも速いペースで作業を進めることができるのです。我が社の女性従業員は20代から70代までと年齢層が幅広く、正社員やパートタイマーなど雇用形態も様々ですが皆、仕事に意欲的に取り組んでいるので現場の士気も自ずと上がります。本社、東北支社、中部支社にある工場のいずれも、今や女性によって支えられていると言っても過言ではありません。

女性営業職を初採用。幹部候補として育成します。

天野貴三 当社は従業員の女性割合が10%に満たない時代が長く続き、何とかそれを改善したいと考えていました。採用コストはかかりますが、ある程度かけなければいい人材は集まらないのも事実。広告媒体などに経費を割り当て、雇用を進めた結果、現在は全体の30~40%まで増やすことができました。また、女性を戦力化するには職域の拡大も欠かせません。その手始めに17年度は営業部門初の女性社員を2名採用しました。両名とも他業種からの転職ですが、優秀な人材を確保することができました。女性営業の前例のないところに飛び込んできてくれた勇気もさることながら、面接の段階で早くも突っ込んだ会話が私とできるくらいにまで仕上げてきた、モチベーションとスキルの高さに驚きました。
将来的には2人に東京の営業本部を率いてもらうことも考えており、本人達にも「営業所長を目指してがんばってください」と伝えてあります。我が社初の女性管理職が誕生する日もそう遠くないかもしれません。

子供の行事は最優先。半休を取ってでも行くべきです。

天野貴三 若い女性社員の雇用を増やしたこともあり、最近は産休や育休を取得するケースが増えてきました。すでに2年間の育休を終えた者もいて、彼女は元いた職場に復職し、以前と同じように仕事をしています。『家庭の充実こそが仕事の充実につながる』というのが私の持論で、子育て中はできる限り子どもの用事を優先するのが我が社の決まり。私自身、7人の子供がいるので子育ての大変さや家族が一緒にいることの大切さは理解しているつもりです。子どもの大事な行事があるのに仕事を休めないなんてナンセンスですし、男性・女性に関係なく「授業参観があるので1時間、抜けます」というのも当社では特別なことではありません。当然、現場には負担がかかることになりますが、みんなの理解を得て、シフト調整等でやりくりしています。当社だけのまだ小さな取り組みかもしれませんが、将来これが広まって、新たな雇用形態が生まれるきっかけになればと考えています。